日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
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研究
訪問看護ステーションの利用者満足度とコストの比較からみたステーション事業展開戦略
内田 陽子
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2002 年 5 巻 3 号 p. 30-36

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抄録

本研究は累積赤字を抱えているA訪問看護ステーションに対して,他のステーションの質とコストの比較から事業展開戦略を考案した.研究方法は,まず訪問看護の質を利用者満足度から調査した.対象は協力を得られた訪問看護ステーション8機関の利用者242人である.満足度調査は利用者に対して訪問看護活動に対する項目と利用者の状態改善についての満足度項目で構成されている質問紙を使用した.コストの調査は財務管理に関する項目(収益,費用,利益,単価,訪問回数,利用者数等)で構成されている質問紙に管理者が記人することとした.調査時期は介護保険前として1999年9月分,介護保険後では2000年9月分の各1か月間の訪問看護ステーションの財務をみた.分析方法はAステーションと他機関の比較をt検定で行った.

結果はAステーションの利用者は自立度が高く痴呆度が重度であり,「情報提供や指導」に対する満足度が低い傾向にあった.また訪問1回あたりの単価は高いものの,利用者数や訪問回数が他機関に比べ半数しかないために収益が低く,赤字が出ていた.

以上より,「利用者数を増やす」,「情報提供や指導に対する利用者満足度を向上する」ことを目標に,職員の経営に対する意識を高める,併設施設へのマーケティング活動,痴呆ケア・指導技術の学習会などの経営管理のアクションプランが立案された.

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© 2002 一般社団法人日本在宅ケア学会
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