日本健康相談活動学会誌
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がん経験者が行うがん教育による中学生の知識及び認識とイメージの変化に関する調査
大原 菜摘野中 靜
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2019 年 14 巻 1 号 p. 51-62

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抄録

【目的】がん経験者のみが行うがん教育を対象に、中学生の知識及び認識とがん患者に対するイメージの変化を明らかにする。

【方法】公立中学校3校の1年生計394名を対象に、講演の前後においてSD法によるイメージ調査と自記式質問紙調査を実施した。

【結果】SD法によるがん患者に対するイメージ調査では、全項目で有意差があり、全てが肯定的な方向に変化した。自記式質問紙調査では、がんに対する知識を問う全項目で、講演後に正解を選ぶ者が有意に増加した。がんに対する認識では、6項目中2項目で講演後に正解を選ぶ者が有意に増加したが、1項目で正解を選ぶ者が有意に減少していた。また、講演後にがんに関する認識とがん患者理解の一部の項目において性別による差が見られた。

【考察】SD法によるがん患者に対するイメージ調査の変化は、実際のがん患者を目にし、正しい知識を得たことで、生徒のがん患者への印象が変化したと考える。自記式質問紙調査における変化は、正しい知識を得たことによるものと考える。性別による差は、講演内容で乳がんを主としていたことと、講演者が女性のみであったことが影響していると考える。

【結論】講演により、がん患者に対するイメージ及びがんの知識や認識に変化があることが明らかになった。しかし、性差が見られたことから、今後の対策として講演を補足する授業が必要だと考える。

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