日本健康相談活動学会誌
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保健室の機能を活かした空間整備に関する研究
―都内養護教諭を対象としたインタビュー調査から―
杉崎 海朝倉 隆司
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2013 年 8 巻 1 号 p. 145-157

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抄録

 本研究の目的は、養護教諭が保健室という空間をどのように構築しているのか、そのプロセスを説明し、そのプロセスに潜在化している経験則や養護教諭の共通した配慮を明らかにすることである。そのために、われわれは養護教諭の保健室観を検討し、それが保健室の機能や空間整備とどのように関連しているのかを検討した。

 対象者は、東京都内の国公立学校に勤務する養護教諭10名である。半構造化インタビューを2011年8月から12月にかけて実施した。対象者には、保健室観や、保健室の役割、機能、良い空間整備についてどのように考えているかを質問した。また、どのようにして機能を最大限に生かすように保健室の空間を利用しているかも尋ねた。

 インタビュー・データの分析により、養護教諭の保健室に対する役割期待と、保健室とはどのようにあるべきかという保健室観が、保健室が果たすべき機能の規定へと結びつく。そして、その機能が、それを最大限有効にするように保健室の空間整備の仕方に影響するという図式化をした。そして、保健室の機能と各コーナーの配置との関連性について検討を行い、保健室の各コーナーのレイアウトに対する対象者に共通した配慮について明らかにした。また、養護教諭の理念を具体化した保健室づくりの実現を制約している要因として、予算、スペース、養護教諭の職務上の問題が存在することも明らかにした。最後に、本研究の限界と課題についても考察を加えた。

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© 2013 日本健康相談活動学会
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