日本健康相談活動学会誌
Online ISSN : 2436-1038
Print ISSN : 1882-3807
実践研究
地域学校保健委員会と連携した小学校における心の健康教育の実践
―「家族のふれあい」と「ストレスマネジメント教育」を通して―
山部 真理
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2013 年 8 巻 1 号 p. 131-144

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抄録

 子どもを取り巻く社会環境や生活行動の影響により、子どもの心の健康問題が深刻化している。これらの健康課題解決に向けて、学校・家庭・地域が協力した取組を行うために、地域学校保健委員会の活動と連携した取組を行った。その内容は、子どもの心の健康の保持増進を目的とした、「家族のふれあい」と「ストレスマネジメント教育」を柱にした実践である。子どもの心の健康には、家族の対話やふれあいが大切であることから、「家族ふれあいの日(ノーテレビ・ノーゲームデー)」に取り組んだ結果、家族との会話や一緒にすごす時間を増やす効果があり、保護者の意識を高めることにつながった。また、リラクゼーションを中心としたストレスマネジメント教育に取り組んだ結果、リラクゼーションの効果を実感し、その後の生活の中でリラクゼーションを活用する児童が多く見られた。ストレスマネジメント教育を継続して行ったにもかかわらず、ストレスを感じる児童の割合の減少には至らなかったが、ストレスに対するコーピングの力をつける効果が認められた。これら2つの取組を通して、子どもの心の健康問題について地域学校保健委員会と連携した取組を行った結果、学校・家庭・地域の共通理解を図ることができ、協力体制や連携が強化され、組織で取り組むことの有効性・重要性が示唆された。

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