2014 年 9 巻 1 号 p. 31-46
養護教諭が救急処置等において自信を持って対応をするためには、判断に根拠を与えるフィジカルアセスメント能力を高める事が重要である。本研究では、養護教諭を対象として行った模擬事例を用いたフィジカルアセスメント教育プログラムの実践を報告するとともに、その評価を行うことで今後の課題を明確にすることを目的とした。評価には本研修後のアンケート結果を用い、模擬事例を用いないで実施した研修後のアンケートを対照調査とした。
その結果、研修後の理解度は8割、養護教諭にとっての必要性の認識は9割、そして研修で学んだフィジカルアセスメント項目の実践意欲もほぼ全員にみられたことから、模擬事例を用いた効果が認められた。
本プログラムの効果を高めるためには、使用する模擬事例が①必要なフィジカルアセスメントを行わなければ判断できない事例であり、②日常遭遇しうる現実的な事例であることが必要である。また、教育プログラムの導入部分に、模擬事例について受講者に検討させる時間を設けることも重要である。
実習は、できる限り時間を確保することが望ましいが、全体的な研修時間の取り方や指導体制については、さらに検討が必要である。
今後は、模擬事例を増やしていくことで、養護教諭に必要なフィジカルアセスメント教育プログラムを充実させていくことが課題である。