日本ヒューマンケア科学会誌
Online ISSN : 2436-0309
Print ISSN : 1882-6962
研究報告
北東北地方で生活する独居高齢者のヘルスリテラシーに関する研究
―居宅での聞き取りから明らかになった、ひとり暮らしへの思い―
松尾 泉石田 賢哉福岡 裕美子
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2020 年 13 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

 高齢者は、生活機能の低下から容易に要介護状態に陥りやすく、独居高齢者は社会的フレイルが加わることでひとり暮らしが困難となるリスクを有する。各自治体では、独居高齢者の社会参加を支援するための閉じこもり予防事業を行っているが、参加者は限られている。今回、北東北地方Z地区住民で閉じこもり予防事業に参加経験のない独居高齢者7名を戸別訪問し、ひとり暮らしへの思いの聞き取り調査から、独居高齢者の暮らしの実態や社会参加に必要なヘルスリテラシーの可視化を試みた。結果、研究対象者は、医療や健康に関心を持ち、心身機能の衰えへの対処や、友人との相互作用などによって、暮らしを維持していることが推察された。今後も増加する独居高齢者の希望に沿った地域での暮らしには、地区組織による事業の提供だけでなく、対象の特性に応じた社会参加を支援するヘルスリテラシー教育が重要であると推察された。

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© 2020 日本ヒューマンケア科学学会
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