日本家庭科教育学会誌
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家庭科教員養成における模擬授業実践を取り入れた教育法プログラムの検討(第1報) : 模擬授業実践による学生の課題認識の分析
高木 幸子
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2007 年 49 巻 4 号 p. 256-267

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抄録

本報では,模擬授業を組み込んだ家庭科教育法プログラムの効果と改善点を明らかにするために,家庭科教師に求められる資質能力の枠組みを設定し,模擬授業実践による自己評価,相互評価の記述をもとに,家庭科授業づくりに関する学生の課題を分析した。1.家庭科教師に求められる能力として,教師に求められる能力と同様,「授業準備・実践」の力が求められていた。また,家庭科教師には,生活に結び付ける教材化の力が多く求められており,社会変化への対応や生活者としての姿勢に関する記述が家庭科としての特徴を示していた。2.社会変化への対応や生活者としての姿勢は,学生が授業を構想する段階で認識できていることが確認できた。しかし,具体的に授業場面で実現する力は不足していると思われた。3.授業準備・実践にかかわる力について,自己評価では教師側からの適切な働きかけや生徒への柔軟な対応などの授業展開力を課題と認識し,相互評価では目標設定や指導過程など授業構成力を課題と認識していた。具体的には,授業構成力に関しては,目標設定や指導過程,内容の時間配分など,具体的な授業イメージの構築が困難であった。教材研究力に関しては,授業を進めていく上で必要な知識や関連知識,生徒の立場での教材の工夫に課題がみられた。授業展開力に関しては,生徒への働きかけや柔軟な対応が全体の課題としてみられた。なお,相互評価は,自己評価で気づきにくい点の指摘につながっており,自己評価による課題認識の偏りを是正していた。次報は,各グループが認識した具体的な課題の改善に向けた2回目の模擬授業実践から課題の改善状況を分析し,家庭科教育法プログラムの効果と改善点を明らかにする。

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© 2007 日本家庭科教育学会
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