日本家庭科教育学会誌
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家庭科教員養成における模擬授業実践を取り入れた教育法プログラムの検討(第2報) : 学生が認識した課題の改善への取り組みと改善状況
高木 幸子
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2007 年 49 巻 4 号 p. 268-278

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抄録

家庭科教員養成段階における模擬授業を取り入れた家庭科教育法プログラムの効果と改善点を明らかにするために,第1回目の模擬授業で学生が認識した課題を整理し,第2回目の模擬授業を通じて課題の改善状況を具体的に分析した。以下に結果の概要を示す。1.第1回目の模擬授業の結果,模擬授業実践を通じて学生が認識した主な課題は,学習指導過程(学習内容の配列や時間配分),目標設定など,授業構成力にかかわるものが中心であった。また,相互評価が自己評価の偏りを是正していた。さらに,家庭科教師に求められる「社会変化への対応」や「生活者としての姿勢」の資質能力は,授業構想段階で認識されているが授業で実現するには不十分であった。2.授業構成力(目標設定や学習指導過程)については,全体的に改善が図られ,家庭科授業としての内容を質的に高めようと改善に取り組む様子が確認できた。教材研究力,授業展開力については,指摘された課題の改善は図れたが,生徒の実態を予想し,資料を加工することや,生徒とのやりとりに対応したり,発言を構造的にまとめることなどは難しいことが分かった。3.2回目の模擬授業実践の結果,改善されたと感じる内容も改善が難しいと感じる内容も共に教材研究力に関するものが中心であった。以上を踏まえ,本プログラムの効果や改善点に標設定や内容の適切な時間配分を具体的な指標として示すなど,プログラムのはじめの段階から上記の視点の意識化を図っていきたい。また,前学習となる教育法II(2年次生対象,後期実施)において,教科内容の専門性を高めるために,専門教科の内容を教材研究の題材として意図的に扱ったり,指導案の基本的な書き方を習得したりできるようにしておくなど,内容の連携についても実践を通じて検討していきたい。

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