日本家庭科教育学会誌
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授業構造に着目した家庭科教員養成プログラムの開発
高木 幸子
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 51 巻 4 号 p. 291-301

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抄録

以上,家庭科教員養成段階において,家庭科授業を理解するプログラムを開発・実践し,学生にとって理解を支援するプログラムとなり得たか否かを検討した。その際,「家庭科授業を理解する」を見る視点を4つ設定し,これらの視点は家庭科授業の理解の状況を評価する指標としても用いた。不平等な環境に気づけるコースの設定を行った部分の省察や学生の構想した授業を分析した結果から,学生は,社会の変化への対応の視点(視点A),実践的・体験的な学習活動の位置付け(視点C),生徒の思考と教師の意図の関係(視点D)については,その必要性や重要性を理解できていた。以上から,開発プログラムは,学生が家庭科授業を理解するための基本的な内容と構造を概ね含めていたと考える。一方,実生活への結びつきの視点(視点B)は,他の視点よりも実現状況が低いと思われた。この結果について学生の取り組む様子と関連させて考察すると,視点を理解できていなかったわけではなく学生の具現する力が不足していたことと,開発プログラムそのものに視点Bを理解させる仕組みが弱かったことが要因と推察する。なお,学生は本プログラムに続いて,模擬授業等を行いながら家庭科授業作りを実践的に学ぶ中等家庭科教育法IIIを経験する。今後は,これらの一連のプログラムについて含むべき内容や構造の検討・改善を進めていく。

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© 2009 日本家庭科教育学会
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