日本助産学会誌
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10代妊婦に関する研究の動向
―1990年から2004年の国内文献のエビデンスレベル―
小川 久貴子恵美須 文枝安達 久美子
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2005 年 19 巻 1 号 p. 1_52-1_63

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抄録

目的
国内の10代妊婦に関する保健医療・看護領域の研究動向を明らかにするために, 文献の年次推移やエビデンスレベルに焦点を当てて検討する。
方法
本研究の検索範囲は, 10代で妊娠を継続し, 出産・育児に関連する対象と設定した。対象文献は, 医学中央雑誌刊行会『医中誌WEB:』 (1990年1月~2004年3月) と, 日本看護協会刊行『最新看護検索』 (1990年~2003年) を用い, キーワードは「未成年者妊娠, 若年初産婦, 10代妊娠, 思春期妊娠」を用い検索した。分析方法は, 文献の筆頭著者の所属機関・職種・文献数の年次推移, 研究主題のレベル別分析, さらに看護に有用なエビデンスレベルの高い文献の分析を行った。
結果
1) エビデンスレベル分類の結果, レベルIのRCTやレベルII―1のコホート研究などは皆無であり, レベルII―2の比較研究や症例集積研究は23件であり, エビデンスレベルの高い研究は少なかった。
2) 対象文献の約6割が1990年から1993年の4年間に含まれ, 医師によるエビデンスレベルIIIの現状報告が多かった。
3) 1996年以降の文献数は減少しているが, 心理・社会面に焦点を当てたインシデトスタディや質問紙調査等の研究が微増し, この分野の研究が次第に進展し始めている。
4) 今後, 看護に有用なエビデンスレベルの高い研究を増やすために, 多様な研究方法を取り入れた量的研究を行うと同時に, 対象の複雑な社会・心理状況を考慮した質的研究によって, 10代妊婦の多面的な問題把握とその解決策に結びつく研究を発展させることが必要である。
結論
本文献調査より, 10代妊婦の多面的な問題把握とその解決策に結び付くような研究が必要なことが明らかになった。

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© 2005 日本助産学会
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