日本助産学会誌
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産後1か月の母親に関する育児適応に影響を与える要因の検討
田中 和子
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2007 年 21 巻 2 号 p. 2_71-2_76

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抄録
目 的
 研究目的は産後1か月の母親の育児適応に影響を与える要因を明らかにする。
対象者および方法
 1か月健診に来院し,研究参加の同意を得られた母親275名を対象に無記名自記式調査票を配布し,調査を実施した。
結 果
 調査票の全ての回答を得られた母親226名を分析対象とした(有効回答率82.2%)。有効回答者の内訳は,初産婦120名(53.1%),経産婦106名(46.9%)であった。設定した30項目と属性で関連のみられた2項目の32項目を独立変数として強制投入法による重回帰分析を行った。結果,育児適応に明確に関連していた項目が明らかになった。
1.初産婦の育児適応には『あやすのがつらい』,『育児が楽しい』,『お風呂入れがつらい』,『育児に慣れた』,『気持ちの通じあう人がいる』の5項目が関連していた。重相関係数は,R=0.84であり,調整済み決定係数は,R2=0.59であった(p<0.001)。
2.経産婦の育児適応には『思うようにしてくれる人がいる』,『赤ちゃんの空腹のサインに早く気づくことができる』,『育児に慣れた』,『夜間子育てを手伝ってくれる人がいる』の4項目が関連していた。重相関係数は,R=0.78であり,調整済み決定係数は,R2=0.43であった(p<0.001)。
結 論
 育児適応を高めるためには,母親が育児に慣れたと感じられるよう育児技術の支援を早期から行うこと,夜間の育児支援および情緒的サポートが得られるような環境整備の必要性が示唆された。また,赤ちゃんの泣きの対応を支援することが重要であることがわかった。
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© 2007 日本助産学会
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