日本助産学会誌
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原著
乳幼児を育児中の女性の月経随伴症状と子どもへの対応に関する検討
島田 真理恵茅島 江子鈴木 美和
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2009 年 23 巻 1 号 p. 37-47

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抄録
目 的
 乳幼児を育児中の女性の月経周期各期における月経随伴症状の実態と月経随伴症状タイプ別にみた月経周期による子どもへの対応状況の変化を明らかにする。また,月経随伴症状タイプによって,睡眠状況や健康状態,育児サポートに対する受け止め,生活に対する満足感,育児に対する感情に差があるかどうかを明らかにする。
対象と方法
 乳幼児を育児中の女性192名に対し,月経周期各期(月経後,月経前,月経期)における月経随伴症状と子どもへの対応状況について質問紙調査した。また,初回調査時には,睡眠状況や健康状態,育児サポートに対する受け止め,生活に対する満足度,育児に対する感情についても回答を得た。有効回答者172名(89.6%)の結果を統計的に分析した。
結 果
1.対象(平均年齢35.6歳)を月経随伴症状のタイプ別に分類した結果,月経随伴症状が軽微な者が60名(34.9%),月経痛症の傾向がある者が29名(16.9%),PEMSの傾向のある者が53名(30.8%),PMSの傾向のある者が30名(17.4%)であった。
2.月経随伴症状タイプ別にみた月経周期による子どもへの対応状況の変化では,PEMSの傾向がある群は,月経期において感情的対応,養育的対応得点がともに有意に低下した。
3.PEMSの傾向がある群は,他群と比較して,疲れやすい・体調を崩しやすいと回答した者の割合が多かった。また,月経随伴症状が軽微な群と比較して,育児サポートに対する受け止めにおける「夫の育児・協力」の得点が有意に低く,過去および現在の生活の満足度を示す得点も有意に低かった。
結 論
 乳幼児を育児中の成熟期女性の月経随伴症状を分類した結果,PMSのみならず10~20歳前半女性に多いと言われるPEMSの傾向にある者が多く存在する可能性があることが明らかとなった。また,PEMSの傾向がある者は,月経期において子どもへの対応能力が低下する,夫のサポートが十分でないと認識する,生活に対する満足感が低いという傾向がみられた。育児支援においては,対象となる女性の月経随伴症状の把握やその軽減への援助を考慮する視点も必要である。
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© 2009 日本助産学会
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