日本助産学会誌
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原著
産褥早期の女性の自律神経活動とリラックス感
—経日的変化と変化に影響を及ぼす要因の検討—
中北 充子
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2011 年 25 巻 2 号 p. 191-202

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抄録

目 的
 本研究の目的は,産褥早期の女性の自律神経活動の変化とリラックス感について,産褥日数による変化を非観血的に捉え,それらの変化に影響を及ぼす因子を明らかにすることである。
対象と方法
 産褥1~3日目の正常な産後経過の女性のべ127名を対象とし,自律神経活動の変化とRE尺度による主観的リラックス感について調査をおこない,潜在曲線モデルを用いて検証した。自律神経活動は,心拍変動を周波数解析して得られた交感神経を示すLow-frequency (LF) / High-frequency (HF),副交感神経を示すHFを用いた。
結 果
 HFとLF/HFは,産褥1日目が高く,2,3日目は低かった。しかしHF,LF/HFと主観的リラックス感において,産褥1~3日間に有意な差は認められなかった。主観的なリラックス感は,産褥1日目の状態が3日目まで影響することが明らかになった。HFと主観的リラックス感に影響を及ぼす因子として,分娩回数と年齢の関連が強いことが分かった。主観的リラックス感は,分娩回数が増えると得点が高くなり,HFの変化には年齢が影響を及ぼしている。産褥1日目のリラックス感が高ければHFも高くなるが,日数が経つにつれ,HFは減少していくことが示された。
結 論
 産褥1日目のHF,LF/HFは,産褥2,3日目と比較して,ともに高く,産褥1日目の自律神経活動は不安定な状態になる可能性が考えられた。さらに,産褥1日目の主観的リラックス感が3日目まで反映すること,HFに影響を及ぼすことから産褥1日目の褥婦の精神・心理的状態を把握することは,その後の産後の経過を予測し,ケアを推し進めていく上で,非常に重要であることが示唆された。

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© 2011 日本助産学会
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