日本助産学会誌
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バースレビューを実施した助産師学生の経験と教育課題の検討
荻田 珠江中澤 貴代安積 陽子荒木 奈緒平塚 志保
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2013 年 27 巻 1 号 p. 72-82

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抄録

目 的
 分娩介助実習の初期(分娩介助数1~3例)と,実習終了時(分娩介助数10例)の2時点において,助産師学生が褥婦とのバースレビューで経験したことを明らかにし,出産体験へのケアに関する助産学教育の示唆を得ること。
対象と方法
 対象はA大学に在籍し,看護学専攻の選択科目である助産学課程を選択した4年次学生とした。研究対象となった7名の学生を3名と4名の2グループに分け,前期実習終了時と後期実習終了時にフォーカスグループインタビューを行った。分析はS・ヴォーンらが示す手順に従って行った。
結 果
 前期・後期実習ともに学生の話題に挙がったテーマは3つであった。「バースレビューの実施と自己評価」というテーマでは,前期で【出産体験の振り返りへのケア】と【バースレビューの難しさ】,【次回に向けた自己課題の把握】,後期では【出産体験の統合に向けたケア】,【現時点における自分の未熟さ】というカテゴリーが抽出された。「バースレビューで気づいたこと・わかったこと」では,前期で【思い込みによる対象理解】,【バースレビューを行う理由と必要性】,後期では【分娩期には捉えきれない全体像】,【助産ケアとその対象の多様性】,【個別のニーズに応える必要性】などであった。「バースレビューを実施した感想」では,前期で【好評価への申し訳なさと満悦感】,後期では【好評価による次への意気込み】であった。
結 論
 学生のバースレビューは,出産体験の振り返りに始まり,実習終了時には出産体験の統合に向けたケアを実施するようになっていた。同時にバースレビューがもたらす効果を実感したり,助産ケアの多様性に気づく機会となっていた。教員は,学生がバースレビューの目的や意義,対象をどの程度理解しているのかを把握し,課題の明確化や不足を補うようサポートをしていくことが重要である。

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© 2013 日本助産学会
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