日本助産学会誌
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院内助産院で取り扱ったlow risk経産婦に対する妊娠·分娩管理の安全性評価
町田 玉枝近藤 由美子矢阪 裕子佐世 正勝
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2016 年 30 巻 1 号 p. 141-147

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抄録
目 的
 全国で院内助産院が設立され,助産師主導の外来及び院内助産が行われている。A病院の総合周産期母子医療センター内に開設した院内助産院における妊娠・分娩管理の安全性について検討を行った。
方 法
 平成21年1月1日~平成25年12月31日までに,院内助産院での妊娠管理を行ったlow risk経産婦214名のうち分娩取り扱いを行った179名(以下,助産院群)と同期間に周産期センターで管理したlow risk経産婦258名(以下,センター群)との周産期予後の比較を行った。第2三半期まで母児とも正常に経過したと医師により判断された経産婦が助産院での分娩を希望した場合に,妊娠28週より助産師主導管理を行った。外来終了後に毎回,診療内容について産科責任医師と協議を行った.分娩には助産師2名が立ち会い,フリースタイルで行なった.分娩を担当した助産師が必要と判断した場合には,医師の来棟要請や周産期センターへの転科・転棟を行った.
結 果
 妊娠期間は助産院群で有意に長かった。出生体重,分娩時出血量には差はなかった。臍帯動脈血pH値には差はなかったが,アプガールスコア1分および5分値において,助産院群で有意に高かった。両群に臍帯動脈血pH値7.00未満の症例はなかった。
結 論
 助産師主導で行なったlow risk経産婦の妊娠・分娩管理の予後は,医師によるものと差はなく良好であった。low risk経産婦に対する助産師主導の妊娠・分娩管理は,安全に行うことが可能であると考えられる。
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© 2016 日本助産学会
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