2017 年 31 巻 1 号 p. 54-62
目 的
助産師教育修了後1年の助産実践を行った新人助産師の臨床での体験を明らかにする。
対象と方法
助産師教育修了後,総合病院に勤務し1年間の助産実践を行った助産師5名を対象にフォーカスグループインタビュー実施し,新人助産師の語りから臨床での体験を探索する質的帰納的研究デザインを用いた。
結 果
助産師教育修了後,1年の助産実践を行った新人助産師の臨床での体験として【助産師としての経験を積んでいくための環境に恵まれている】【助産師の仕事にやりがいを感じる】【妊産褥婦の助産ケアにじっくり関われない】【学生時代の体験と現場の実践にギャップを感じる】【体験を共有する仲間がいない辛さがある】【現場で求められる能力と自分の持っている能力のギャップに悩む】【助産師として働き続ける選択をする】の7つのカテゴリが抽出された。
結 論
新人助産師のキャリア形成には,分娩介助経験件数の機会の配慮と分娩介助1例ごとの振り返り,個々の新人助産師の個性や到達段階を捉えた先輩助産師の精神的・教育的なかかわり,助産師教育で学んだことと現場の実践のギャップを埋めるような途切れのない教育の検討の必要性が示唆された。