日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
原著
妊娠末期から産後1年までの妊娠によるマイナートラブルの変化
新川 治子
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 35 巻 1 号 p. 36-47

詳細
抄録

目 的

妊娠による「マイナートラブル」の有症率と頻度の産後1年間の変化と,産後各期の有症数に関連する因子を明らかにすることである。

対象と方法

広島県内の4医療機関に妊婦健康診査又は出産準備教育に来院した妊婦を対象にした。調査は自記式質問紙を用い,妊娠期,退院時,産後1か月,4か月,1年の計5回縦断的に行った。内容は妊娠末期のマイナートラブル29症状の有無と頻度,分娩様式,栄養方法,育児負担感,母親の乳児への愛着尺度日本語版(以下,MAI-Jと略す)と日本語版エジンバラ産後うつ病自己評価票(以下,EPDSと略す)である。一元配置分散分析で妊娠期からの有症数の変化,カイ二乗検定で各症状の有症割合,積率相関係数及び対応のないt検定で有症数と各因子との関連を検討した。

結 果

妊娠期は1566名に配布,回収数681名(回収率43.5%)中,妊娠末期の回答422名(有効回答率62.0%),退院時126名,産後1か月88名,産後4か月79名,産後1年70名を対象とした。マイナートラブル数の平均は分娩後に経過と共に減少していた(F=130.93, p<0.01)。症状別では22症状の有症率が有意に減少し,3症状が産後に増加,4症状が不変であった。退院時及び産後1か月時のマイナートラブル数は,産後1か月から1年までのEPDS得点(r=0.39~0.58, p<0.01),及び育児負担感得点(r=0.30~0.44, p<0.05)と有意に相関した。

結 論

本調査により妊娠期のマイナートラブル数は産後に影響すること,また産後のマイナートラブル数と産後うつや育児負担感との関連が確認できた。これは快適な育児は産後からではなく,妊娠期からのケアが重要であることを示すものである。妊婦が体験している不快症状を「マイナートラブル」と軽視せず,1つでも症状が改善するよう支援する必要がある。

著者関連情報
© 2021 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top