日本助産学会誌
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資料
マッピングによる109ヵ国の助産師教育の可視化:国際助産師連盟(ICM)データの二次分析
全国助産師教育協議会国際関連活動委員会(2017年~2018年)笹川 恵美大田 康江松﨑 政代新福 洋子大石 時子
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2021 年 35 巻 1 号 p. 48-56

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抄録

目 的

本研究は,国際助産師連盟(International Confederation of Midwives:ICM)のデータに含まれる指標のうち,助産師教育に関する項目を分析し,世界の助産師教育の可視化を通じ,その現状と多様性の理解促進を目的としている。

方 法

ICMのウェブサイトから,入手可能なデータ113ヵ国中,109ヵ国のデータを用いて二次分析を行った。具体的には,(1)助産師教育卒業時の学位,(2)助産師教育の課程,(3)助産師教育施設毎の卒業生数を分析し,結果を世界地図上にマッピングして可視化した。結果は,世界保健機関(World Health Organization:WHO)の区分による6地域(アフリカ,米州,南東アジア,欧州,東地中海,西太平洋地域)で比較した。

結 果

助産師教育卒業時の学位は,有効データがある87ヵ国を分析した。高等専門学校課程修了による助産師資格は47ヵ国(54.0%),学士は65ヵ国(74.7%),修士は35ヵ国(40.2%)が有していた(複数回答)。助産師教育の課程を94ヵ国について調べた結果,ダイレクトエントリー課程を採用しているのは76ヵ国(80.9%),看護教育後の助産師教育課程を採用しているのは57ヵ国(60.6%)であり,修行期間の平均は,それぞれ36ヵ月,19.4ヵ月だった。助産師教育施設毎の卒業生数は,80ヵ国のデータを分析し,年間卒業生の中央値は22.5人であった。

結 論

ICMデータを基にした世界地図は,世界の助産師教育課程と助産師教育機関の多様性を示した。世界では,助産師教育にダイレクトエントリー課程を採用している国が多いことが明らかとなった。妊産婦死亡率や合計特殊出生率が高いアフリカ地域の国では,高等専門学校課程による助産師育成が多く,1施設毎の助産学生の数は増加する傾向が示唆された。

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