日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
資料
助産師による分娩開始の診断の実態調査
上原 明子中田 覚子竹内 良美湯本 敦子
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 35 巻 2 号 p. 178-186

詳細
抄録

目 的

助産師による分娩開始の診断の実態を明らかにする。

対象と方法

助産師467名を対象に横断研究を実施した。分娩開始時刻(第101回助産師国家試験午後問題25を改変)の回答別に助産師の背景(助産師経験年数,分娩介助経験件数)をKruskal-Wallis testにて分析し,分娩開始時刻の判断根拠(自由記載)を分類した。

結 果

251名より回収し,203名を分析対象とした。対象者の背景として,192名(94.6%)が医療施設で就労し,助産師経験年数(mean±SD)は12.1±9.2年,分娩介助経験件数は394.1±679.0件であった。分娩開始時刻の回答は,「4時」3名(1.5%),「8時」42名(20.7%),「9時」123名(60.6%),「11時」4名(2.0%),「提示情報では判断できない」31名(15.3%),回答別に助産師の背景の違いはなかった。分娩開始時刻の回答別にみた判断根拠の分類では,分娩開始の定義に加えて,産婦の表情や姿勢など回答時刻別に異なった。

結 論

助産師によって分娩開始の診断は異なり,着目する情報やその解釈など,実践知による違いが示唆された。

著者関連情報
© 2021 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top