日本助産学会誌
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原著
レズビアンを自認する女性が同性パートナーとの間に自身の子どもをもつまでに辿る意思決定のプロセス
上田 恵中島 通子西田 絵美
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2022 年 36 巻 2 号 p. 225-235

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抄録

目 的

この研究は,レズビアンを自認する女性が自身もしくは,同性のパートナーと生物学的つながりのある子どもをもつために,どのような意思決定のプロセスを辿るのかを明らかにする。

対象と方法

同性のパートナーとの間に,生物学的つながりのある子どもを育てている日本人のレズビアンもしくは,自分か同性パートナーと生物学的なつながりのある子どもをもつことを希望しているレズビアンの合計4名を対象者とし,彼女らへのインタビューによって語られた話をデータとした。分析は複線径路・等至性モデル(TEM)を使用し,彼女らの子どもをもつまでのプロセスにおける意思決定の経験を記述した。

結 果

対象者は,レズビアンとして子どもをもつことについて様々な課題を抱えていたが,パートナーとの安定した関係の中で,子どもをもつことを決定していた。そのプロセスの中では,子どもを得るための方法,出産する者の決定,精子提供者の選択などが,個人の価値観に従い決められていた。

結 論

レズビアンが同性パートナーとの間に子どもをもつまでの意思決定のプロセスは,子どもをもつことについて葛藤した期間や,子どもをもつ方法について検討していった期間を辿っていることが明らかになった。

個々の価値観に応じて,どのように子どもをもつかについていくつかの決定がされていた。

生物学的な子どもをもつことを希望するレズビアンカップルのニードを医療提供者が,どのように受け入れていくのかを検討するための基礎的な資料の蓄積が,将来にむけて必要である。

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© 2022 日本助産学会
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