日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
資料
助産師教育における実習生の質保証のための助産学共用試験に対する教員の認識
谷口 千絵渡邊 浩子渡邊 典子和泉 美枝宮川 幸代眞鍋 えみ子江藤 宏美高田 昌代北村 聖村上 明美
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 38 巻 1 号 p. 145-154

詳細
抄録

目 的

本研究の目的は,実習前の助産学生(以下,学生)の質保証に関する取り組みと課題,助産学共用試験に対する助産師養成校の専任教員の認識を教育年限別に明らかにすることである。

対象と方法

2020年10月~2021年1月に,全国の助産師養成校218課程の教務主任/教育の責任者1人および専任教員1人の436人を対象にWEB調査を実施した。調査内容は,実習前の学生の質を保証するための取り組みおよびその課題,助産学共用試験に対する認識である。教育年限1年課程,教育年限2年課程,学士課程(選択コース)の3群に分けて分析した。

結 果

149人から回答を得た(有効回答率34.2%)。実習前に学生の質を保証するための取り組みをしていると回答した者は143人(96.0%)であり,140人(94.0%)が現在の取り組みに課題があると回答した。課題としてもっとも回答が多かったのは「時間が足りない」で,教育年限1年課程および学士課程(選択コース)では,教育年限2年課程に比較して有意に回答者の割合が高かった(p=0.010)。助産学共用試験を94.6%が「必要/やや必要」と回答して教育年限による差はなかったが,実習前に学生の質を保証する試験については,教育年限1年課程および2年課程と比較して学士課程(選択コース)では「あまり必要ではない/必要ではない」と回答した割合が有意に高かった(p=0.047)。

結 論

実習生の質を保証する取り組みはすでに多くの教育機関で行われていたが,カリキュラム上の時間が足りないことが課題となっていた。助産学共用試験は実習前の学生の質保証に必要なシステムであると認識されていた。

著者関連情報
© 2024 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top