日本助産学会誌
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ピアサポートを利用する双子を育てる母親の妊娠期から育児期における体験
佐々木 綾香石村 美由紀林 薫
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2024 年 38 巻 1 号 p. 164-174

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抄録

目 的

本研究の目的は,ピアサポートを利用する双子を育てる母親の妊娠期から育児期における体験を明らかにし,双子を育てる母親へのピアサポートの効果的な利用を検討することを目的とした。

対象と方法

生後3歳未満の双子を養育中で,ピアサポートを利用する母親3名を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した。また,すべての研究過程において,質的研究者のスーパーバイズを受けた。

結 果

双子を育てる母親の体験として9のカテゴリーが抽出され,双子を育てる母親の双子ならではの体験と,双子を育てる母親のピアサポート利用の体験の2つのコアカテゴリーに分類された。双子を育てる母親の双子ならではの体験として,妊娠期に【双胎妊娠特有の心身】を抱え,【双子についての不十分な情報】に悩まされてきた。そして,出産後には【子どもと別々の退院がもたらす母親のアンビバレントな感情】を抱いていた。育児期に入ると【双子をもつ母親が抱く育児負担感】は壮絶なものであり,特に【双子育児中の母親にとって外出が困難な状況】は双子を育てる母親を孤独な状況へと追いやっていた。双子を育てる母親のピアサポート利用の体験として,【ピアサポート利用までの道のり】が長かった者もいたが,【双子育児の助けとなり安心できるピアサポート団体の支援】があった。【ピアサポート利用による心理的効果】は,他の何にも変わることのできない非常に大きなものであり,ピアサポーターは双子を育てる母親たちにとって心強い存在となっていた。そして,そこには【ピアサポーターとしての新しい役割の獲得】があった。

考 察

ピアサポート利用は双子を育てる母親にとって,精神的に大きな役割を果たしているため,母親が社会的に孤立することを予防するためにも,双子を育てる母親に対し,妊娠早期からのピアサポートによる支援介入を行うことが重要であることが示唆された。

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