目 的
産後早期は,母親・父親ともに産後うつ病のリスクが高い時期である。産後うつ病は家族機能や児の発達に影響するため,家族を包括的に捉えた支援が必要である。その基礎的知見を得るため,本研究は,産後早期の夫婦を対象に,抑うつ症状の有無による心理社会的特徴を比較することを目的とした。
方 法
関西圏の2病院と育児関連Webサイトにて募集した生後1–2か月の児を養育する夫婦に,横断研究を実施した。母親はエジンバラ産後うつ病自己評価票が9点以上,父親は8点以上を抑うつ症状ありとし,①抑うつ無群,②母親のみ抑うつ群,③父親のみ抑うつ群,④両者抑うつ群に分類した。心理社会的特徴は,家事・育児分担割合,乳児の父親の育児関与尺度,ソーシャルサポート尺度短縮版,赤ちゃんへの気持ち質問票,夫婦関係満足度尺度等で評価した。家事・育児分担等は夫婦間の認識のずれも評価した。統計解析には多項ロジスティック回帰分析を用いた。
結 果
夫婦321組(①237組(73.8%),②32組(10.0%),③41組(12.8%),④11組(3.4%))を分析対象とした。抑うつ無群に比べ,母親のみ抑うつ群では,母親は父親の育児関与が少ないと認識し,その認識には夫婦で相違がみられた。父親のみ抑うつ群では,夫婦ともに父親の育児関与尺度の下位尺度「間接的な不満感」および児への否定的感情が強いと認識し,父親のみソーシャルサポートおよび夫婦関係満足度得点が低かった。両者抑うつ群では,夫婦ともに父親の育児関与尺度の下位尺度「情緒的な関わり」の得点が低かった。母親のみ抑うつ群・両者抑うつ群では,夫婦ともにソーシャルサポートおよび夫婦関係満足度得点が低く,児への否定的感情が強かった。
結 論
産後早期の抑うつ症状は,育児分担や対児感情,夫婦関係に対する認識を含む心理社会的特徴と関連し,その特徴は抑うつ症状を有する者が母親か,父親か,両者かにより異なった。妊娠期あるいは産後早期から,夫婦単位で心理社会的特徴を踏まえて支援する重要性が示唆された。