論文ID: JJAM-2017-0044
目 的
産後1年未満の母親を対象に産後家庭訪問のニーズ調査を行い,産後家庭訪問に何を求めているのかを明らかにする。
方 法
関東圏内の産後1年未満の母親594名に無記名自記式質問紙を用いて①属性,②分娩状況,③出生時の児の状況,④退院後に受けたサポート,⑤産後家庭訪問に対するニーズ(時期・回数・時間・訪問者・ケア内容),⑥自由記載欄を質問した。
結 果
有効回答271名(45.6%)。分娩時平均年齢は32.8(±5.0)歳,初産婦176名(64.9%),経産婦95名(35.1%)。妊娠週数の平均は39.0(±1.6)週,経腟分娩86.0%,帝王切開14.0%。訪問希望時期は産後1~2か月が174名(64.4%),退院直後~産後1か月は114名(42.2%)。180名(67.7%)が産後1か月間に複数回の家庭訪問を希望した。希望する職種は助産師237名(87.8%)と最多であり,174名(72.2%)が病院・診療所の所属を望んでいた。希望するケアは児の体重測定228名(84.1%),授乳に関すること198名(73.1%),骨盤ケア163名(60.1%)等が上位にあがった。「骨盤管理」「尿失禁ケア」「自分の話をよく聞いてもらうこと」「励ましてもらうこと」では,経腟分娩した者の方が帝王切開を受けた者より希望すると回答した者の割合が高かった(p<.05)。
結 論
産後は精神的ストレスがある一方,母親達が希望するケアは授乳全般や児の体重測定等直接身体にアプローチするケアであった。今後,母親のニーズに沿った切れ目のない産後ケアを行うためには分娩様式など対象の背景を考慮しながら,分娩した病院・診療所の助産師を活用し,産後2か月以内に訪問を行うことが望ましく,さらには複数回訪問が行われることが可能となることが望まれる。