日本助産学会誌
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“Care in Normal Birth”から“Intrapartum care for a positive childbirth experience”へ:WHOの正常出産ガイドラインは,どのように変わったか?
笹川 恵美春名 めぐみ米澤 かおり疋田 直子
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論文ID: JJAM-2018-0026

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抄録

目 的

世界保健機関(World Health Organization:WHO)は,2018年「WHO recommendations: Intrapartum care for a positive childbirth experience」を出版した。このガイドラインは,1996年出版の正常出産ガイドライン「Care in Normal Birth: a practical guide」の改訂版として位置付けられる。本稿の目的は,新旧ガイドラインを比較し,その変化を記述することである。

方 法

まず,新旧ガイドラインの基本特性を比較した。次に,新旧ガイドラインの推奨項目の内容を理解できる小見出しを和文で作成した。新旧ガイドラインの小見出しは,対比可能な形で一覧表とし,項目別の推奨レベルを示した。また,「新ガイドラインで新たに加わった項目」「旧ガイドラインにあったが新ガイドラインに含まれなかった項目」「新旧ガイドラインで推奨レベルが変わった項目」を調べ,WHOの正常出産ガイドラインはどのように変わったかを表に取りまとめた。

結 果

新旧ガイドラインは,妊産婦を尊重するケアを推奨している点で,共通している。新ガイドラインの主な改訂点は,分娩経過の多様性を尊重し,分娩第1期・第2期の定義や標準持続時間を見直したこと,硬膜外麻酔中の産婦や新生児へのケアに関する推奨を増やしたことである。清潔な器具の使用の推奨など,出産現場に広く浸透したと考えられる項目は,新ガイドラインには含まれていなかった。推奨レベルが上がったのは,分娩第3期のオキシトシン投与や臍帯牽引,硬膜外麻酔に関する項目であった。助産ケアに関しては,ポジティブな出産体験を促進するようなケアを推奨していたが,その具体的なケア内容は,表現の違いはあるものの,新旧ガイドラインで一貫して変わらない項目であった。

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