日本助産学会誌
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乳幼児のおむつ皮膚炎の有病率とその関連要因に関する文献レビュー
横山 萌莉春名 めぐみ米澤 かおり笹川 恵美疋田 直子
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論文ID: JJAM-2019-0034

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抄録

目 的

本研究は,文献レビューを通じて,おむつ皮膚炎を発症しやすい乳幼児の特徴を看護職に対して知識普及がなされることを期待し,乳幼児のおむつ皮膚炎の(1)有病率を明らかにすること,(2)発症と予防に関連する要因を把握することを目的に実施した。

対象と方法

医学中央雑誌Web版ver. 5と検索エンジンPubMedを通じたMEDLINEのデータベースを用いて,「新生児・乳幼児」「おむつ皮膚炎」「infant, newborn」「diaper rash」のキーワードを組み合わせて検索を行った。2019年5月27日から過去30年以内の日本語と英語の原著論文に限定し,著者2名が包含基準・除外基準をもとに論文のスクリーニングを行い,統計学的に有意差の示されたおむつ皮膚炎発症と予防に関連する要因を抽出した。

結 果

13件の論文が抽出された。おむつ皮膚炎の点有病率は,11.5~70.6%,期間有病率は15.2~90%と幅広い値であった。おむつ皮膚炎の定義は,おむつ皮膚炎の有無のみとする論文と重症度分類した論文があった。おむつ皮膚炎の判断基準は,評価者が症状を定義し,一定の症状があった場合に皮膚炎をありとする方法と,症状を定義せず,症状の種類・重症度を問わず皮膚炎があると認識した場合という方法があった。おむつ皮膚炎発症と予防に関連する要因は,児の属性・皮膚の状態・消化器の状態・健康状態・栄養方法・スキンケア方法・育児環境があった。特に,おむつ皮膚炎発症のリスク要因として消化器症状や皮膚状態との関連を示す論文が多く,保湿剤の種類といったスキンケア方法に関するものが少なかった。

結 論

おむつ皮膚炎の判断基準の不一致によって幅広い有病率を示したため,今後の研究で判断基準の統一が求められる。また,家庭内で行われるスキンケア方法とおむつ皮膚炎発症との関連性を示す論文は少なったため,さらなる研究が求められる。

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