論文ID: JJAM-2020-0027
目 的
育児期にある夫婦関係の自覚と実際的なかかわりの協働やその調整である夫婦ペアレンティングへの思いを明らかにすることを目的に7組のカップル14名を対象として取り組んだ。
研究方法
家庭訪問による半構造化面接を夫婦別々に行い,夫と妻の語りを質的に分析し,コードから,サブカテゴリー,カテゴリーを抽出した。
結 果
対象とした夫婦は,A県に在住しており,妻は平均38.9歳,夫は41.1歳であり,結婚して平均8.7年が経過していた。妻は,<子育ての中で感じる気持ちを大切にできる><成長している夫を感じる>などから【自分の子育てを支えているものがある】,<子どもとのかかわりは間違っていない><自分のおかれた環境を自覚している>から【子どもへのかかわりへの思い】をもって<夫へのささやかな不満がある><夫とのコミュニケーションへの意識がある>から【夫に対する客観的な分析】をしながら,<夫とうまくいっている実感がある><夫への感謝の気持ちがある><夫への理解と信頼がある>により【夫との協力関係への満足感】をもっていた。一方,夫は<夫婦の協力に対するスタンスがある><子どもに向き合っている>により【自分なりの妻や子どもへの考えがある】をもち,<妻との折り合いをつけている><妻と助け合うことはあたりまえ>などから【妻と助け合って子育てをするための努力】をしながら<妻への信頼と感謝がある><妻との関係に満足している>により【妻との協力関係への満足感】をもっていた。
結 論
夫婦は互いの信頼関係や感謝の心,支え合いの中で,二人の関係への満足感をもっていた。妻を支えたいという夫の思いと,子どものために,妻に支えられている実感の中で,二人の関係は保たれ調整されていた。こうした夫婦関係を基盤にして,良好な夫婦ペアレンティングへの思いが保たれていた。