論文ID: JJAM-2021-0001
目 的
本研究は,シングルマザーに対する妊娠期の助産実践を明らかにすることを目的とした。
対象と方法
研究デザインは質的記述的研究である。A県内の産科医療機関に勤務する,助産師としての経験が4年目以上の助産師5名を対象に,シングルマザーの支援に関する視点や保健師との連携に焦点をあて半構成的インタビューを実施した。継続比較分析を行いサブカテゴリー,カテゴリーと抽象化し,シングルマザーに対する妊娠期の助産実践を示すコアカテゴリーを生成した。
結 果
シングルマザーに対する助産実践の内容は,【シングルマザーとなり児を育てていくことができるかを見極める】【シングルマザーとして出産する決意をした妊婦に寄り添いながら育児に向けて支援していく】【継続した関わりから母親になろうとしていく変化をアセスメントする】【シングルマザーとなり育児をしていくことを見すえ保健師と連携する】の4カテゴリーとなり,コアカテゴリーとして,『妊娠期から育児を見越し母子の安全を守る』が抽出された。
助産師は,【シングルマザーとなり児を育てていくことができるかを見極める】ことをスタートとし,育児が可能だと判断した後は,【シングルマザーとして出産する決意をした妊婦に寄り添いながら育児に向けて支援していく】ことや,【継続した関わりから母親になろうとしていく変化をアセスメントする】ことを並行して実践していた。そしてシングルマザーに関わりながら,【シングルマザーとなり育児をしていくことを見据え保健師と連携する】ことを行っていた。
結 論
助産師は,シングルマザーの背景や妊娠に対する覚悟を把握したうえで寄り添い,継続的に支援を行う過程で母親になろうとしていく変化をアセスメントしていた。さらに自らが核となり保健師とシングルマザーをつなぎ,産後をみすえ連携しながら支援を実践していた。