日本助産学会誌
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助産師の認知行動療法に関連した研修前後における知識と実践への自信の変化
青山 さやか蟹江 絢子片岡 弥恵子
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論文ID: JJAM-2021-0037

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抄録

目 的

周産期におけるメンタルヘルスの問題は日本だけでなく諸外国においても公衆衛生の問題と認識されており,支援方法の1つとして認知行動療法がある。本研究では,助産師を対象に認知行動療法(Cognitive behavior therapy:CBT)の基礎知識の習得を目的としたWeb研修を実施し,研修前後でのCBTの知識とCBT実践への自信の変化を明らかとすることを目的とした。

対象と方法

研修に参加した助産師に研修前後でWeb調査を実施した。研修内容はCBTの基礎知識とし,調査は参加者の特性,知識テスト,CBT実践への自信で構成した。知識テストは,CBTの基礎知識13項目,周産期メンタルヘルスの知識18項目の合計31項目で構成し,得点範囲は0点から31点であった。CBT実践への自信は,CBTのスキル8項目から成り,リッカートスケール4件法とし得点範囲は8点から32点である。分析には対応のあるt検定を用いた。

結 果

22名の助産師から回答があり(回答率55%),研修前後で回答の得られた19名を分析対象とした(有効回答率86.3%)。知識テストの平均得点は研修前25.8点(SD=0.7),研修後が27.1点(SD=0.4)であり,有意な差は認められなかった(p=0.08)。全体の正答率は研修前83.4%であり,研修後87.4%に上昇した。CBTの基礎知識の平均得点は研修前9.7点(SD=2.3),研修後12.0点(SD=0.8)であり,有意差が認められた(p=0.001)。周産期メンタルヘルスの設問18問の平均得点は研修前16.1点(SD=1.4),研修後15.1点(SD=1.7)で差はなかった(p=0.60)。CBT実践への自信の平均値は研修前19.3点(SD=5.2)が研修後23.8(SD=4.0)と上昇し,有意な差が認められた(p=0.01)。CBT実践への自信の項目では,最も上昇した項目はソクラテス式問答法であった。

結 論

研修後には,CBTの基礎知識およびCBT実践への自信は上昇していた。今後は,参加者の知識習得状況を踏まえ,CBTの臨床での活用促進を目指して,CBT実践に必要な知識の再検討,CBTのスキルの習得を含めた研修の内容及び方法を模索する必要がある。

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