日本助産学会誌
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産褥入院中の授乳服のデザインに関する研究―助産師による乳房ケアのしやすさの視点―
中西 真美子青木 久恵窪田 惠子庄山 茂子小松 美和子
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論文ID: JJAM-2022-0028

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抄録

目 的

産褥入院中の褥婦が着用する授乳服において,助産師が乳房ケアをしやすい授乳服の要素を明らかにする。

対象と方法

福岡県内の5施設の助産師130名を対象に,自記式質問紙を配布し,78名より回答を得た(回収率60%)。10種の授乳服より,助産師が乳房ケアしやすい・しにくい授乳服,乳房ケアした褥婦が着用していた授乳服,職場で採用されている授乳服の選択を求めた。また,入院中の褥婦が着用する授乳服で重視する要素10項目,及び10種の授乳服における乳房ケア時の「乳房の出しやすさ」の印象について4段階で回答を求めた。

結 果

助産師が乳房ケアしやすいと回答した授乳服は,ネグリジェ(全前開き),パジャマ(全前開き),パジャマ(浴衣式)の3種であった。乳房ケアしにくい授乳服は,ネグリジェ(前開きなし),パジャマ(前開きなし),ネグリジェ(上部前開き),ネグリジェ(授乳口あり)の4種で,約87%の助産師はこれらを着用した褥婦の乳房ケア経験があった。入院中の褥婦が着用する授乳服において,助産師が重視する要素は,「乳房の出しやすさ」と「着心地」であった。約65%の助産師は乳房ケア時に授乳口を必要とし,そのうちの約92%は20cm四方以上の大きさを求めていた。

結 論

助産師が乳房ケアしやすい授乳服は,ネグリジェ(全前開き),パジャマ(全前開き),パジャマ(浴衣式)の3種であった。約87%の助産師は,乳房ケアしにくい授乳服を着用した褥婦の乳房ケア経験があることから,授乳服のデザインによっては,助産師が乳房ケアしにくい実態が明らかになった。また,乳房ケア時に授乳口を必要とする助産師は約65%で,その約92%が20cm四方以上の大きさを選択し,乳房の出しやすさへの要求が高いことから,助産師は大きな授乳口の授乳服を求めていることが明らかとなった。

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