日本助産学会誌
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日本人のリプロダクティブ・ヘルス/ライツの普及度と予定外の妊娠をめぐる医療体験の実態
芳賀 亜紀子鮫島 敦子豊岡 望穗子貞岡 美伸中込 さと子
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論文ID: JJAM-2023-0039

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抄録

目 的

日本人のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(RHR)の普及度と予定外の妊娠をめぐる医療体験の実態を探索する。

対象と方法

20代以上の日本人男女を対象とし,2021年12月~2022年1月にWEB調査を行った。調査内容は,対象者の背景,RHRと性に関する知識,RHRに関する対処行動,予定外の妊娠相談と人工妊娠中絶の医療体験とした。量的データは記述統計量を算出し,質的データは内容分析を行った。

結 果

有効回答が得られた女性367名,男性368名を分析した。RHRを「内容まで知っている」と答えたのは女性11.4%,男性3.0%であった。性に関する知識の情報源はインターネットであり,女性65.9%,男性79.3%が自身の持つ性に関する情報に正確か自信がない・わからないと回答した。助産師の性と生殖に関する専門職役割を知っているのは女性32.4%,男性14.1%であった。避妊法を女性が決める・女性の意思を尊重すると回答したのは,女性30.0%,男性24.5%であった。女性の産む決め方は,自分(女性)自身が45.2%,パートナーと2人が43.6%と同比だったが,産まない決め方は,パートナーと2人が48.8%に対し,自分(女性)自身が24.0%と低値であった。女性と男性共に6.8%が過去に中絶を体験し,女性14.7%,男性12.8%が予定外の妊娠相談の受診経験があった。男女共に,医療者の対応によって傷つく体験をしていた。医療者には,相談者のことを否定せず話を聴く姿勢,優しく接する態度,正確な情報提供を求めていた。

結 論

日本人男女共に,RHRが普及していない実態が明らかとなった。予定外の妊娠における医療者からの対応は,RHRを考えた医療体制ではなかった。RHRの普及が急務であり,対象のRHRを擁護する医療者の認識を高める必要がある。

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