論文ID: JJAM-2024-0002
目 的
国内外で公表された妊産婦への足浴の効果に関する既存の知見を整理し,足浴の効果についての示唆を得ることである。
対象と方法
2023年12月に医学中央雑誌Web版,PubMed,CINAHLで,「妊婦」「産婦」「妊産婦」「足浴」「foot bath」「pregnant woman」「pregnancy women」をキーワードとする11文献(日本語8件,英語3件)を分析対象とした。研究デザイン,対象,介入方法,介入の評価方法,効果に関する情報を抽出した。
結 果
妊婦を対象とした文献が6件,産婦を対象とした文献が5件であった。足浴方法は,40°C前後で15分間前後,水深15 cm,三陰交が浸かる程度と表記されている文献が主流であった。妊婦への足浴の効果は,【肩こり】【不眠】【腰痛】といったマイナートラブルの軽減,リラクセーション効果(気持ち良さや不安軽減などの主観的,心理的効果)であった。産婦への効果は【陣痛回数の増加】【陣痛間隔の短縮】【陣痛持続時間の延長】【リラクセーション】【産痛緩和】であった。
結 論
妊婦への足浴の効果は,リラクセーション効果,妊娠期のマイナートラブル軽減の可能性が示され,産婦にはリラクセーション効果,分娩促進効果と産痛緩和効果の可能性が示された。しかし,効果の評価が主観的な指標に偏っていることや研究デザインがランダム化比較試験RCT(randomized controlled trial)ではないことから明確な結果は得られていない。さらなるエビデンスの集積が必要である。