日本助産学会誌
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哺乳力の弱いことが予測される新生児の母親に対する早期の搾乳刺激効果の検証
坂谷 愛季小橋川 直美江藤 宏美
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論文ID: JJAM-2024-0024

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抄録

目 的

産科で管理される,哺乳力の弱いことが予測される後期早産児,あるいはやや体重の少ない新生児を出産した母親に対して,分娩後早期から搾乳刺激を行うことの効果を明らかにする。

方 法

ヒストリカル・コントロール研究を用いて介入の効果を検討した。対象者は36週の早産,または正期産で出生体重が在胎期間別体重の30パーセンタイル未満の児とその母親とした。介入群には分娩当日に1回と産後1日以降に1日4回,直接授乳の前または後に電動搾乳機で搾乳刺激を行った。介入群とコントロール群は傾向スコアを用いて分析し,栄養方法を主母乳と主人工乳に分類し比較分析した。

結 果

介入群は40人,コントロール群は64人であった。産後3日の人工乳補充量は介入群の方がコントロール群に比べ38 mL有意に少なかった(95%信頼区間[−67,−10],p=.008)。退院時点の栄養方法が主母乳である割合は,介入群の方がコントロール群に比べ2.88倍であった(95%信頼区間[1.18,7.03],p=.02)。

結 論

介入群に対して早期からの搾乳刺激の介入を行ったことで,産後3日の人工乳の補充量が有意に少なかったことが明らかとなった。本研究で対象とした新生児では乳汁を直接授乳で吸い取る力が弱いが,搾乳刺激を行ったことで乳汁の生成を促す作用に影響したことが推察された。

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