日本助産学会誌
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助産院における母児搬送判断基準と救急支援体制に関する実態調査
宮崎 文子古田 祐子
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1999 年 13 巻 1 号 p. 22-29

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抄録

本研究は助産院の安全性を確保するための情報収集を目的とし, 助産院を対象に,(1) 過去5年間の死産状況,(2) 妊産婦管理状況,(3) 母児搬送判断基準,(4) 嘱託医・協力病院状況に関する調査を行った。
対象は, 年間分娩件数50件以上の助産院62か所とし, 各助産院長あてに自記式質問紙を郵送し, 調査を行った。回収数44件 (回収率71.0%), 有効数41件である。調査期間は平成9年5月8日から6月6日である。その結果, 以下のことが明らかとなった。
平成4年から平成8年までの5年間に死産経験のあった助産院は17か所 (41.5%) であり, その内訳は, 死産11件, 胎内死亡による母体搬送9件であった。母児の搬送の判断基準は, 開業年数 (10年以上, 10年未満) で有意差が認められたが, 死産経験との関連は認められなかった。なお搬送基準に有意差が認められた項目は3項目であり, 開業年数10年未満に比し, 10年以上のものが多かった項目は「妊娠初期少量の出血はあるが, 子宮収縮はない」の1項目であり, 開業10年未満のものに多かったのは, 分娩期における「骨盤位である」と「1,000ml出血した」状況の2項目であった。また, 超音波診断装置・分娩監視装置等のME機器設置状況は年間分娩件数100件以下に比し, 100件以上の助産院が有意に常設率が高かったが, 死産経験との関連はみられなかった。
救急支援協力病院をもつ助産院は97.6%(40か所) であり, その数は1か所から3か所と幅がみられ, 受け入れ状況は「非常に良い」・「良い」が62.5%と過半数を占めていた。

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