日本助産学会誌
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妊娠中の呼吸・代謝機能の変化について
佐々木 敦子武井 とし子三輪 百合子
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1989 年 3 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

妊婦体操や分娩時の呼吸法については, 積極的な奨励により広く実施されている。
本研究は, 妊娠の過程に伴う呼吸機能を測定し, 分娩時に用いられる呼吸法の指導に関する基礎的資料を得ることを目的とした。
対象は正常経過の妊婦8人と非妊婦25人である。妊婦では, 妊娠初期, 中期, 後期の3回測定した。内容は, (1) 肺活量の測定, (2) 呼気ガス分析 (呼吸法実施時, 運動負荷実施時), (3) 心拍数 (運動負荷実施時), (4) 二酸化炭素分圧測定 (呼吸法実施時) である。呼吸法は腹式深呼吸, 胸式深呼吸, 短促呼吸および努責の代わりに息止めを行い, 各呼吸法の間に安静3分間をとって実施した。運動負荷は安静2分間を前後に4METS設定で10分間実施した。結果より腹式深呼吸, 胸式深呼吸では呼吸効率は良いが, 短促呼吸や息止めでは二酸化炭素のwashout効率が悪いため, 十分な深呼吸が必要である。運動負荷による換気量や心拍数は, 妊娠の経過とともに増加した。

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