抄録
出産後の援助者が実母である場合の,(1) 産褥1か月間の褥婦の心配事を明らかにすること,(2) 実母の育児に関する援助態度と褥婦の心配事の関係を明らかにする目的で, 都内民間病院で出産した初産婦20名とその実母20名を対象に, 施設退院後2~3日目と退院後2-3週間目に訪問調査を行った。
その結果, すべての褥婦は何らかの心配事をもっており, 1回目訪問では延べ127件, 新生児に関しては100件で, その中でも育児技術に関するものが67件と最も多かった。また実母の援助態度は「見守るタイプ」「まかせるタイプ」「もめるタイプ」があり, 褥婦の心配事の出現には, この援助態度だけでなく, 褥婦の実母の助言への態度や, 育児書のとらえ方, 育児経験など, 他の要素の影響が考えられた。
退院後も褥婦はさまざまな心配事をもっており, 実母の援助を受けていてもそれが解消されない場合が多いことより, 退院後も助産婦など専門家の継続的なサポートが必要であるといえる。