2025 年 46 巻 1 号 p. 11-16
近年,質の高い安心で安全な医療を求める患者や家族の声が高まる一方で,医療の高度化と多様化に伴う業務の増大に起因する医療現場の疲弊が社会的な問題となっている。「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」では,医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェア可能な薬剤師業務の具体例として「周術期における薬学的管理等」を明示し,周術期における薬剤に関連する具体的な業務を挙げている。一方,タスク・シフト/シェアを効果的に推進するための課題について「意識」「技術」「余力」の3つを挙げ,各課題解決に向けたアプローチを整理している。一部の職種のみの意識改革では容易には進めることは困難であり,各医療施設全体での意識改革や啓発活動が必要性である。またタスク・シフト/シェアを受ける側の余力確保も重要であり,特定の医療専門職種に負担が集中することがないように取り組む必要がある。2022年度の診療報酬改定では薬剤師の周術期業務に関連する加算として「周術期薬剤管理加算」と「術後疼痛管理チーム加算」が新設され,薬剤師が周術期業務に参画する病院が徐々に増えている。周術期において薬剤師に求められるタスク・シフト/シェアのニーズを見極めると共に,診療報酬改定のインセンティブを受け,薬剤師は周術期医療に更に貢献すべく,医療専門職種と連携,協働し,取り組んでいくことが重要である。