ソラチコザクラは北海道固有種であり,空知支庁金山で発見された標本に基づいて記載された.しかし,今日この産地はダム建設によって失われてしまった.現在知られている主な分布域は空知南部から日高地方であり,自然の湿った岩壁ばかりではなく,人工的に削られた崖にもその生育を見ることがある.日高支庁浦河町の東部を流れる日高幌別川水系で開削された林道にも人工的な崖が所々にあり,大小のソラチコザクラの群落が見られた.大きな群落では花冠が濃紅紫色から淡紅紫色あるいは淡青紫色まで変異するのが観察できたが,その中に,非常に数少ないが,純白のものが混生していた.