植物研究雑誌
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  • 原稿種別: 表紙
    2024 年 99 巻 5 号 論文ID: 99_5_cover
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル フリー
  • 山路 弘樹, 小栗 一輝, 王 浩涵, 斉 建凱, 司馬 真央, 曽根 美佳子, 松浦 匡, 成 暁, 刀 志霊, 田中 伸幸, 山本 豊, ...
    原稿種別: 原著
    2024 年 99 巻 5 号 p. 281-295
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    著者らの先行研究ではDNA バーコーディングによるテンモンドウAsparagi radixの種鑑別技術を確立し,市場品調査を行うことにより,Asparagus cochinchinensisと共に4ないし5種の日中市場流通を確認した.この中で,同定された生薬サンプルのうち栽培品が占める割合がA. subscandens では0%,A. cochinchinensis では35%,A. taliensis では78%であった.テンモンドウにおいては,野生品の枯渇に応答して今後,栽培品の増加が予想されるが,それに伴い原植物の比率が変化し,特に A. taliensisが増加することが予想される.そこで,本研究では、文献調査と現地調査による情報を整理し,テンモンドウの原植物の種多様性の歴史的経緯,特にA. cochinchinensisA. taliensis が栽培されるに至った経緯を明らかにし,テンモンドウの原植物に起こる未来を推測することを試みた.調査の結果,湖北,貴州,四川の野生産地では,A. cochinchinensis のみが採取されていたのに対して,広西と四川の栽培地では A. cochinchinensis,雲南と貴州の栽培地では A. taliensis が栽培されていた.中国で両種が栽培されている現状は,四川,広西,雲南の3つの地域でそれぞれ独立して栽培化が進められ,その際に各地域に自生する種,系統が用いられたことが原因と考えられる.栽培品のうち,調査時に市場で最も多く流通していた A. cochinchinensis に由来する広西産テンモンドウは細く小さい一方,雲南,貴州産の A. taliensis に由来するものは太く,大きく,色が薄く,地道生薬の特徴と一致していた.テンモンドウの野生産地としても雲南・貴州は良品を産するとされてきた地道産地であり,将来的には A. taliensis の生産と流通が増加すると予想される.

  • 菊地 賢, 久米 修, 眞崎 久, 渡邊 将人, 鳴橋 直弘
    原稿種別: 原著
    2024 年 99 巻 5 号 p. 296-305
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    キイチゴ属ゴショイチゴに関しては,これまでモミジイチゴ,ビロードイチゴ,およびクサイチゴとの間の雑種と思われる個体が発見され,それぞれゴショモミジイチゴ,ビロードゴショイチゴ,およびゴショクサイチゴと命名・記載されている.本研究では,分子生物学的手法により,形態に基づいて分類されてきたこれらの推定雑種の検証を行った.推定雑種9個体および推定親種6個体を対象とした核リボソーム遺伝子ITS領域の塩基配列解析から,推定雑種3種はいずれも雑種であることが裏付けられ,その親種についても形態分類と矛盾しない結果を得た.また葉緑体rbcL領域およびmatK領域の解析から,ビロードゴショイチゴを除き推定雑種の母系親種が特定され,少なくともゴショモミジイチゴについては,両親種が母系親種となりうることが示唆された.

  • 大橋 広好, 邑田 仁
    原稿種別: 原著
    2024 年 99 巻 5 号 p. 306-309
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    ウチワノキは1919 年中井猛之進が朝鮮半島中部Chinsenで発見し,モクセイ科の新属新種Abeliophyllum distichum Nakai として植物学雑誌 33(392): 153に発表された.中井は新種のタイプとして4点の標本を引用したが, ホロタイプ(当時はタイプ)を指定しなかった.続けて中井 (1922) はA. distichum f. albiflorum Nakai とf. lilacinum Nakai の 2 品種を発表したが,ここでは証拠標本を引用しなかった.生育地は ‘in rupibus Ryuteiri prov. Chusei bor. Corea’ でタイプ生育地in rupibus Chinsenと異なっているように見えるが,同じ場所である.A. distichum [f. distichum] で引用された標本はシンタイプであり,TI に3点あり,1点はArnold Arboretumに送付された(Fig. 2).中井によってTypusの朱印が押されたTIの1点(Fig. 1) をレクトタイプに選定した.また,A. distichum f. albiflorum Nakai と f. lilacinum Nakai は中井が検定した原資料original materialがTI にあり,これらの中からそれぞれのレクトタイプを選定した (Figs. 3, 4).

  • Nagaraju S., Pamarthi R.K., Singh R.K.
    原稿種別: 原著
    2024 年 99 巻 5 号 p. 310-317
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    インド・ テランガーナ州ムルグ地区のエトゥルナガラム野生生物保護区から, イネ科カモノハシ属の新種Ischaemum prasannae Nagaraju, Pamarthi & R.Kr.Singhを記載し,詳細な写真を提供した.本種は芒のある小穂を持つ点で I. ciliare Retz(. ヒメカモノハシ)に似るが,無柄小穂の第一苞穎の先が4裂すること,有柄小穂の第一苞穎,第二苞穎の背軸側が無毛であること,芒の長さは 5.5–7 mm と短いことなどで区別される.

  • 山本 将也, 上野 由貴枝, 上野 勝典
    原稿種別: 原著
    2024 年 99 巻 5 号 p. 318-324
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    フデリンドウ(リンドウ科)の新変種コバナフデリンドウ(新称)Gentiana zollingeri Fawc. var. tosaensis Mas.Yamam., Yukie Ueno & K.Ueno を記載した.本種は(1)花冠が白く小さいこと (7–12 mm),(2)子房柄が短くほとんど目立たないこと(< 1 mm),(3)蒴果が花冠から超出しないことで基準変種のフデリンドウvar. zollingeri と区別できる.また,基準変種よりも開花期が若干早いこと(3 月中旬),スギ林や常緑樹林の林床や林縁に生えることなど,生態的な違いも認められる.本変種は長野県および岐阜県でも発見されているが,高知県の東部に集中して分布することから,変種形容語には tosaensis の名をあてた.

  • 首藤 光太郎, Vasques D.T., 池田 博
    原稿種別: 短報
    2024 年 99 巻 5 号 p. 325-328
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    ミチノクフクジュソウ Adonis multiflora Nishikawa & Koji Ito(キンポウゲ科)の初発表文では,青森県十和田市下平(読みは「しもたい」だが,原記載では「しもだいら」)で採集された標本が引用された.北海道大学総合博物館 (SAPS)には,本種のホロタイプあるいはアイソタイプであることを示すアノテーションラベルが貼付された標本が8枚あった.そのうちの2枚には,学名の著者によって作成されたラベルに「十和田市洞内」と記されており,初発表文と一致しないことから,タイプに該当しないと考えられた.残りの6枚については,著者によるタイプ指定等はなく,これら6枚はシンタイプに該当すると考えられた.また,Son et al. (2018) は論文の中で “holotype” として標本を引用しているものの,特定の標本を指示してはいないことから,彼らがレクトタイプを選定したとは考えられない.そこで,これら6枚のうち1枚 (SAPS072700)をレクトタイプに選定した.残り5枚はアイソレクトタイプとなるが,2枚 (SAPS072698, SAPS072699) をSAPSに残し,3枚は京都大学植物標本庫(KYO),東京大学植物標本室(TI),および東北大学植物標本庫(TUS)に寄贈した(KYO00027081, TI00083110, TUS558836).また,タイプから除外した2枚 (SAPS072701, SAPS072702) については,同じ場所で同じ日に採集された6 枚(SAPS072703–SAPS072708)とともにミチノクフクジュソウを記載した際に参考とした原資料 (original material) と考えられた.

  • 堀 清鷹, 市原 睦規
    原稿種別: 短報
    2024 年 99 巻 5 号 p. 329-331
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    日本産カナワラビ属 Arachniodes の細胞学的研究は進んでいるが,染色体数が報告されていない種が少数ある.本報告では新たにハチジョウカナワラビA. davalliiformisが2n = 164 の四倍体有性生殖種であることを報告する.

  • 中川 博之, 佐藤 謙, 首藤 光太郎
    原稿種別: 短報
    2024 年 99 巻 5 号 p. 332-339
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    イネ科ウシノケグサ属の多年草Festuca auriculata は,アラスカ,極東・北西ロシア,シベリアに,F. mollissimaは極東ロシア,朝鮮半島に分布する別種とされる.一方で F. mollissimaF. auriculata のシノニムとして扱う見解もある.著者らが北海道の羅臼町知西別川支流の岩場と札幌市の定山渓天狗岳において採取したウシノケグサ属植物は,葉の縁と中肋の背軸側に厚壁組織があり,上記2種を区別する3つの厚壁組織の大きさと肋の数が変異として確認されたことから,F. mollissima をシノニムとする F. auriculata と同定した.また北海道大学総合博物館陸上植物標本庫(SAPS) における標本調査により,札幌市の手稲山と神威岳の標本もF. auriculata と同定した.F. auriculata の和名については,最初に採取された標本の産地「定山渓天狗岳」から新称となる和名「ジョウテンウシノケグサ」を提案した.

  • Rai P., Limboo P., Bhutia P.G., Khanal M.
    原稿種別: 短報
    2024 年 99 巻 5 号 p. 340-343
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    2022 年にブータンのPunakha地区から記載されたBegonia menchunaensis を,インド新産として,シッキムの Namchi地区,2070mの地点から記録した.ブータンの標本と比べると,花被片や葉の形態などに違いが認められた.

  • Pham N.K., Dang V.H., Nguyen H.V., Dang V.C.
    原稿種別: 短報
    2024 年 99 巻 5 号 p. 344-346
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル 認証あり

    イワタバコ科のPetrocosmea属は無茎のロゼット植物で,中国南部の石灰岩高地を中心に,インド北東部からベトナムにかけて約50種が知られている.2017年の現地調査でベトナム北部 Lai Chau 省から採集され,栽培開花した本属植物の文献・標本調査の結果,P. hsiweniiをベトナム新産として記録した.ここでは栽培下の生植物に基づいて詳細な形態を記載した.

  • 大橋 広好
    原稿種別: 追悼
    2024 年 99 巻 5 号 p. 347-349
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: その他
    2024 年 99 巻 5 号 p. 350
    発行日: 2024/10/20
    公開日: 2024/10/20
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