植物研究雑誌
Online ISSN : 2436-6730
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最新号
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第100巻記念論文
  • 福岡 将之, 鈴木 秀和, 神谷 充伸, 田中 次郎
    原稿種別: 第100巻記念論文
    2026 年101 巻3 号 p. 133-144
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/20
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    電子付録

    静岡県と和歌山県の沿岸域から得た海産付着藍藻コツブイワツキCyanoplacoma micrococcaを対象に,形態観察と分子系統解析により分類学的検討を行った.本種は今まで遺伝情報が得られておらず,形態観察もほとんど行われていなかった.試料の藻塊は黄褐色の嚢状である点,藻塊表層部の細胞が黄褐色の鞘に包まれる点,藻塊内層の細胞が表層よりも小さい点,飛沫帯の岩上に生育する点から本種と同定された.分子系統解析の結果,本種は同属のイワヒゲノコブC. adriaticaと同じクレードに含まれた.本種のクレード(Cyanoplacoma clade)に含まれる種は,すべて多数の細胞列からなる偽柔組織状群体を形成していた.本研究により得られた成果は,シアノプラコマ属Cyanoplacomaの分類学に新たな知見を提供するものである.

原著
  • 木嶋 久美子, 堺 眞砂美, 天田 啓
    原稿種別: 原著
    2026 年101 巻3 号 p. 145-149
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/20
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    Tabularia属珪藻は現在20種が認められており,そのうちT. sinensisは中国の鄱陽湖で初めて記載された.本研究では日本産T. sinensisを走査型電子顕微鏡で再検討し,接殻帯片(valvocopula)の構造に着目した.以前,本研究者らはT. sinensisの接殻帯片が片方開放している(開環型)と報告したが,今回の観察で両端が閉じている(閉環型)ことを確認した.これは従来のTabularia属には見られず,Ulnaria属に特有の特徴である.試料作製時の損傷で開放したように見えたが,詳細な観察により閉じているのが本来の形であると判明した.T. sinensisは形態的に分子系統解析では異なる系統群とされるTabularia属とUlnaria属の中間的特徴を示すことから,複雑な分類学的位置が示された.

  • 菊地 則雄, 鈴木 将太, 玉城 泉也, 阿部 拓三
    原稿種別: 原著
    2026 年101 巻3 号 p. 150-161
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/20
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    紅藻ウシケノリ目 Bangiales の属は,分子系統解析に基づき再編が行われ, Porphyra属に属していた日本産の種の多くは他のいくつかの属に移った.しかしDNA解析が行われていない6種の所属については未検討のままで,Porphyra属に残されている.そのうちの一種ムロネアマノリ Porphyra akasakae A.Miura は三陸沿岸に分布している.形態学的観察と核コードのnrSSU遺伝子および葉緑体コードのrbcL 遺伝子の塩基配列に基づく分子系統解析の結果,本種はアマノリ属 Pyropia に属する独立種であることが判明した.従って,新組合せPyropia akasakae (A.Miura) N.Kikuchi, Shot.Suzuki, Tamaki & Ta.Abe を提案する.

  • 早瀬 裕也
    原稿種別: 原著
    2026 年101 巻3 号 p. 162-175
    発行日: 2026/06/20
    公開日: 2026/06/20
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    マキシモヴィッチの Diagnoses (breves) plantarum novarum Japoniae et Mandshuriae(以下 Diagn. Pl. Nov. Jap. et Mands.)および Diagnoses plantarum novarum asiaticarum(以下 Diagn. Pl. Nov. Asiat.)は, Bulletin de l’Académie Impériale des Sciences de Saint-Pétersbourg(Bull. Acad. Imp. Sci. Saint-Pétersbourg:以下 Bull. Acad.)に発表され,Mélanges Biologiques Tires du Bulletin Physico-Mathematique de l’Academie Impériale des Sciences de St.-Pétersbourg (Mélanges Biol. Bull. Phys.-Math. Acad. Imp. Sci. Saint-Pétersbourg:以下 Mél. Biol.)に転載されている.したがって,これら一連の論文で発表された学名はこれまで, Bull. Acad. で発表されたものと扱われることが多かった.しかし,これらの出版年月日について書誌データ上の日付を基に再検討を行ったところ,Diagn. Pl. Nov. Jap. et Mands. のXVI と Diagn. Pl. Nov. Asiat. のIV は,いずれも転載元(Bull. Acad.) より転載先 (Mél. Biol.)の方が1か月早い前年の12月に出版されていることがわかった.これらで発表された学名の正式発表は, Mél. Biol. で1年早く行われたことになる.ただし,Bull. Acad. 27巻4号には出版年月日とみなされる記述が2通りあり,これに発表された Diagn. Pl. Nov. Asiat.のIVについては詳細な日付である遅い方の日付を出版日と見なした.またDiagn. Pl. Nov. Asiat. VIIIは,マキシモヴィッチの死後1893年5月に単独で出版されており,発表はBull. Acad.でもMél. Biol.でもない.さらに,各論文タイトルの側に付された日付[Hara (1937)によれば‘学会’で‘読んだ’日付]が,しばしば出版年月日と誤解されている可能性がある.加えて,出版年月日はほとんどがユリウス暦で記述されているため,グレゴリオ暦との差に注意しなければならない.Bull. Acad.およびMél. Biol.で発表された学名の正式発表については,‘Diagnoses’ 以外の論文でも注意が必要である.

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