植物研究雑誌
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Melanoseris henryi(キク科タンポポ連)の再検討:ラオスのフロラへの新記録およびその系統的位置
張 建文N. Kilian鄧 涛O. Souliya孫 航
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2016 年 91 巻 suppl 号 p. 112-119

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抄録

ラオス南部のメコン川流域,Bolaven 台地の植物多様性調査において採集したキク科植物を,Melanoseris henryi (Dunn) N. Kilian(キク科タンポポ連)と同定した.本種はA. Henry により雲南省普洱で100 年以上前に採集されて以後,記録されたことのない珍しいものであり,属レベルでラオス新産である.新たな採集品を試料として核DNA のITS 領域の塩基配列を決定し,既知の配列データとともに系統解析を行った結果,クレードの信頼度は低いが,本種はM. atropurpurea - M. likiangensis - M. macrantha クレードおよびM. tenuis - M. graciliflora クレードとの類縁性が示唆され,Melanoseris に含まれることが明らかとなった.しかし,近縁種間との関係を議論するには不十分であった.ラオス産Melanoseris henryi の写真を示し,記載を付した.

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© 2016 植物研究雑誌編集委員会
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