植物研究雑誌
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日本における褐藻ホンダワラ属分類の一世紀の歩み
島袋寛盛
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2016 年 91 巻 suppl 号 p. 364-375

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抄録

日本沿岸域に広く分布し藻場を形成するホンダワラ属は海域の生態系にとって重要な役割を有している.しかしその外部形態は複雑に分化し,未だに分類が困難なグループである.ホンダワラ属は大型藻類の中で最も種数が多く,現在までに500 種以上が認められている.日本に分布するホンダワラ属が初めて分類学的に扱われたのは,長崎で採集され1815 年に記載されたウミトラノオを含む3 種だった.その後,日本に来航する船によって採集された多くの種がヨーロッパで記載された.日本人の研究者により初めてホンダワラ属の分類学的研究を行ったのは遠藤吉三郎で,最初に40 種を取り纏めた.その後,多くの研究者らにより日本沿岸域に分布する多くのホンダワラ属について研究が行われ,現在までに約60 種が日本産種として記載されている.ホンダワラ属は未だに分類学的な検討を必要としており,DNA 解析を含めた多くの研究が求められている.

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© 2016 植物研究雑誌編集委員会
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