植物研究雑誌
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学校収蔵標本を端緒とした外来植物8種の渡来年代と和名初出に関する新知見
渡邉-東馬 加奈 白井 亮久福田 泰二田中 伸幸
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2024 年 99 巻 1 号 p. 58-71

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抄録

『武蔵野植物目録』(1926) に掲載され,現在は帰化植物とされる8種,ハタザオガラシ,ワルタビラコ,ハナトラノオ,アメリカギク,ハキダメギク,セイタカアワダチソウ,ネバリノギク,ユウゼンギクについて,国内への渡来年代と和名の初出文献を調査した.国内初の採集品となる標本を探索した結果,3種がこれまで提唱されていた渡来年代より数年遡って採集されており,ワルタビラコとアメリカギクは武蔵高等学校に,他種はその他の標本庫に国内初の採集品が所蔵されていた.和名は全8種について『武蔵野植物目録』が初出である可能性が示された.今後多くの標本庫で標本整理が進み情報が公開されることで,外来植物の国内への渡来年代はさらに遡ることもあるかと思われる.また,学校収蔵標本の多くは近年廃棄の危機に瀕しているが,本稿で示したように貴重なものを含むこともあるため,専門家による調査が急がれる.

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