2022 年 22 巻 1 号 p. 43-54
この論文は日本のポピュラーカルチャー (マンガやアニメ) をポストヒューマニズムという視点で分析し、ポストヒューマンがどのように描写されてきたのか、またポストヒューマンはどのような意味を持つのかということを探ってみたい。
日本では戦後多くのSF作品が生まれてきたが、この論文では弐瓶勉の漫画「シドニアの騎士」(2009-2015)、そのテレビアニメシリーズ (2014-2015)、また映画版 (2021)を中心に考察する。ストーリーは、SFにみる巨大ロボット・戦闘機がエイリアンと戦うというものであるが、登場人物は科学技術により改良・補強されたポストヒューマンたちである。特に革新的なポイントは、明確な「性」のない、もしくは「両性」として描かれるキャラクターが登場することである。そこでポストヒューマン理論を用いて、このアニメにおけるポストヒューマンとその「性」と「セクシュアリティー」を考察していく。