アニメーション研究
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論文
  • 佐分利 敏晴
    2021 年 21 巻 2 号 p. 3-12
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/11/06
    ジャーナル フリー

    アニメーションにおける通称「オバケ」は、作者がアニメーション制作において用いる、仮現運動や動きの錯覚を励起する意味の無い絵として緩やかに定義されてきた。しかし、その定義は生態心理学、数学、物理学の観点からも検証されるべきである。本論文では「オバケ」を以下のように分析し定義し直す。それらは錯覚や仮現運動を作るための意味の無い道具ではなく、「動きを同定するための知覚情報」そのものであり、十分な意味と内容を有しているものである。

    アニメーションの制作とは、動きを特定する情報を変換する作業であると考えられる。すなわち、制作される動きの情報はそれぞれの動きを時間によって微分した結果もたらされるものであり、それらは時間の矢に沿って並べられたいくつかのフレームにより、映像において再構築されるよう作られたものであると言えよう。そこに錯覚が入り込む余地はないだろう。たとえ一目見ただけでは何が描かれているか分からなくても、それらは制作者が発見した動きを構成するために必要不可欠な情報だと推測される。それは「生命の錯覚(The Illusion of Life)」ではなかろう。

  • キム ジュニアン, 三俣 哲
    2021 年 21 巻 2 号 p. 13-23
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/11/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、アニメ業界で1970年代から1990年代まで、演出・原画などの仕事に携わり活動した渡部英雄氏が、現役時代から保管していた絵コンテなど膨大な中間素材(以下、渡部コレクション)を本研究者らの所属大学に一任したことから始まる。我々は、アーカイブ化された渡部コレクションのなかで、損傷の危機に瀕しているセル画に注目し領域横断的研究に着手した。それぞれ材料化学とアニメーション研究を専門にする二人の著者は、セル画の保存・管理の意義、プラスティック素材であるセルロイドの開発と変遷の歴史、アニメーションにおける同素材の導入史を考察しつつ、渡部コレクションからのセル画2点に対する物理化学的分析を行った。本稿ではその研究成果を報告し、さらにセルというメディウムに基づいて産業化されたアニメーションを通して人間の視覚はどのように形成され変容されてきたのかという問題を提出し考察する。始まったばかりの研究ではあるが、ある種の文化資源として考えられるセル画の保存・管理に関する知見をアニメ業界をはじめ社会に提供し、同素材の遂行行為者的機能を物質的リアリティーという側面から理論化することを目指す。

  • 藪田 拓哉, 佐々木 淳
    2021 年 21 巻 2 号 p. 25-35
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/11/06
    ジャーナル フリー

    本研究では、アニメーション療法の基礎研究として、アニメ視聴によって視聴者に生じた心理学的体験とその影響を実証的に分析、分類することを目的とし、アニメ視聴による心理学的体験と影響の構造化を行った。その結果、アニメ視聴による心理学的体験は【気持ちの高揚】、【気晴らし】、【共感的反応】、【現実への還元・関連】、【作品の構成要素に対して抱く魅力】、影響は【ポジティブな気持ちへの自己変容】、【自身のあり方の模索、変化】、【作品への関与と作品を越えた活動】で構成された。本研究によりアニメの心理学的体験はさまざまなポジティブな体験で構成されることが明らかとなった。またアニメの心理学的体験からその影響に至る体験過程についての示唆が得られた。

招待論文
  • Sharalyn Orbaugh
    2021 年 21 巻 2 号 p. 37-42
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/11/06
    ジャーナル フリー

    なぜカナダの学生は日本の漫画やアニメの研究を望むのでしょうか。アニメ映画が英語に相当するものがない日本語を使っていたり、北米文化には存在しない概念の文化的な言及を含んでいたりする場合、教員にとってどのような課題があるでしょうか。この論文は、著者がカナダの大学で日本のポップカルチャーを教えてきた15年間の経験をもとに、異文化コミュニケーションにおいて最も難しい分野の一つである、漫画やアニメのLGBTQのキャラクターに関する語彙、概念、談話を探究するものである。日本とカナダにおけるジェンダー・性・セクシュアリティの概念における不一致は、両文化の暗黙の仮定を考察する機会を提供するものであることを論じている。

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