本稿では、日本の商業アニメーション(以下、アニメ)において行われている会計実務が、制作プロセスと制作上の判断、そして表現上の特徴にどのように関係するのかを考察することを目的とする。アニメ産業は文化的側面と商業的側面が密接に結びついており、企画段階での収益モデルの設計や制作費の決定、および予算管理といった会計実務は、制作における条件の形成を通じて表現に影響しうる。
そこで本稿では、先行研究や関連資料を踏まえて、次の2点について分析する。第1に、製作委員会方式による収益モデルの設計が、作品の位置付けや題材の選定、演出の重点に影響を与えうることである。第2に、制作費および予算管理が、作画枚数や尺、キャラクター数、背景量やCGパートの規模といった制作上の判断を方向づけうることである。そして、これらが結果として、画面上の表現にも現れうることを整理する。