マンガやアニメ等の中間生成物の収蔵施設の整備を想定し、文化庁は2024年度より、資料保存の対象とすべき作家や作品候補の検討を進めており、筆者はこれに参加している。ただしアニメの場合は重要な作家や作品のものを含め、現存する多くが制作会社の管理を離れ、元スタッフが保有していたり市場に流れていたりする状況にある。本稿は上記検討に供すべく、特定作家による資料の所在や取引の状況をとらえる試みとして、宮﨑駿による直筆原画類について調査したものである。スタジオジブリ学芸スタッフや元収集者への聞き取り、競売記録の調査を行った結果、スタジオジブリでは90年代から段階的に制作資料を保存するようになっている一方、それ以前は多くがスタッフにより引き取られていたことや、市場に流れた宮﨑駿直筆とされる原画類の落札価格が2020年前後に大幅に上昇し、2021年以降、中央値が200万円前後で推移していることがわかった。