南アジア研究
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論文
新しいコミュニティ祭礼の出現
―ラージャスターン農村におけるラームデーヴ信仰と巡礼―
中谷 純江
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2009 年 2009 巻 21 号 p. 60-86

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抄録
本稿では、ラージャスターン農村における祭礼の変容について論じる。近年、村落で人気のあるラームデーヴラー巡礼をとりあげ、なぜ巡礼が村人の関心を集めるようになったのか、また他の聖地ではなく、聖者ラームデーヴの廟を目的地にすることの意味はなにか、という2点について考察する。第一に、村落における「伝統的」社会構造が崩れ、古い秩序を体現するホーリー祭が否定される一方、新しい年中祭礼として巡礼が出現したことを述べる。次に、ラームデーヴ信仰の特性について分析し、ラームデーヴがもつハイブリッド性が宗教・カースト・階級・ジェンダーを越えて、異なる人々を包摂する力をもつことを述べる。最後に、ホーリー祭とラームデーヴラー巡礼を比較する。巡礼はホーリー祭と同様に、非日常空間において人々が根源的つながりを体験する機会になっており、祭りを通して「コミュニティ」を創出する機能をもつ。しかし、両者が体現する「コミュニティ」の構造は異なる。ホーリー祭ではヒエラルキーが顕在化するのに対し、巡礼では複数の読みが可能な開かれた関係性と異なる人々をつなぐ結節点が示される。
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© 2009 日本南アジア学会
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