2026 年 10 巻 1 号 p. 18-22
アジア・サルコペニア・ワーキンググループ(AWGS)が発表した2025年コンセンサスでは,従来の疾患としての「サルコペニア」から,全身の健康寿命を左右する「筋肉の健康 “Muscle Health”」へと概念が大きく転換された。とくに中年世代から始めるライフコースアプローチの重要性を強調している。AWGSは栄養介入とレジスタンストレーニングを組み合わせる複合プログラムを推奨しており,具体的にはたんぱく質,HMB,n-3系脂肪酸,ビタミンDを取り上げている。本項ではこれらの栄養素とMuscle Healthに関する近年のシステマティックレビューを紹介し,筋量や筋力の緩徐な低下や,同化抵抗性の初期的変化が生じ始める中年期から,早期に栄養介入を開始する意義を解説する。将来的には,個人の遺伝子や代謝の違いを考慮して筋肉の老化を防ぐ「精密老年栄養学」の発展が期待される。