2004 年 13 巻 1 号 p. 33-55
最近,ナレッジ・マネジメントの重要性が叫ばれ,様々な方法論が提案されてきた.しかしながら,現実には多くの失敗事例も存在する.その多くは,有益なナレッジが供給されない,供給されたとしても適切にアップデートされない,などといったナレッジを生産・メンテナンスする側に適切なインセンティブ・メカニズムが機能していないことに起因する.本稿ではナレッジ・マネジメント・システムを企業内市場とみなし,ナレッジの利用者が生産者に対し支払いを行うモデルを考察する.これによりナレッジの生産者はナレッジを供給する動機付けがされ,また古くなったナレッジのメンテナンスを自発的に行うことになる.このナレッジ市場を経済モデルにより記述し,均衡分析を行うことにより,ナレッジ価格,生産者が得る利益,アップデートを自発的に行うための条件などを導き出す.