2004 年 13 巻 2 号 p. 37-53
銀行などの金融機関にとって,ATM(現金自動預払機)は顧客サービス向上と業務効率化において重要な設備投資対象である。ATMの台数が多いほど顧客へのサービスが充実するが,導入と維持にコストがかかる。そのため,ATMの設置の際にはできるだけ少ない台数でより多くの顧客の利用要求に応えることが課題となる。
そこで本研究では,銀行のサービス業務設備であるATMを対象として,利用者の利用タイミング,探索行動特性,サービス待ちに対する行動特性を考慮したエージェントモデルを用いて,ATMの設置箇所数と設置台数が利用回数と機会損失回数に及ぼす影響を明確にし,経営戦略に基づいた利用回数および機会損失回数の目標値を利用した設置箇所数と設置台数の決定法を提案した。そして金沢市内の複数の地域に適用し,その結果に基づき提案法の考察を行った。